『ストレス』
製造業や医療関係、研究職の世界などでは昔から使われていたのかもしれませんが、現代の「人間関係の摩擦」や「辛いことを行う疲弊」のような意味で広く使われるようになったのは、バブル期の1980年代頃からと言われています。
ストレス社会とも言われる現在、この「ストレス」という言葉はとても便利で、自分は考えることを放棄したように何かあったら「ストレス」という言葉を使っています。
体調が優れないのもストレス。
寝付きや寝覚めが悪いのもストレス。
肌荒れも関節痛もストレス。
過食も拒食もストレス。
ド忘れも誤字脱字もストレス。
仕事や趣味がパッとしないもストレス。
孤独も怒りもストレス。
自分が嫌いなものは全部ストレス。
こんな感じに、なにか都合の悪いものを4文字の言葉でカテゴライズして処理できるのは、コストパフォーマンスに優れた言葉です。
ただ、問題なのは、この考え方だけでは解決しないんですよね。
原因がストレス以外に可能性があるのは当然ですけど、仮に原因がストレスだった場合でも、それを取り除く手段を導き出して実行するには、それこそストレスが掛かる作業になります。
自分自身や、自分の大切にしたい人たちにはストレスを少なく過ごしていただきたいですが、無理なものは無理と割り切ったりもしています。
コロナ禍で孤独になり自殺者が増えているという話も聞きますが、これもストレスですよね。
避けようのないストレスで溢れかえっている現在、ストレスの原因をひとつひとつ潰すより、ストレスと上手に付き合うことを求められる場面が圧倒的に多いはずです。
今後、ストレス耐性というスキルがより重宝される世の中になっていくことでしょう……。
みんな言葉に出さないだけで。